30代前半での若年乳がんと遺伝性乳がんとは?

「遺伝性乳がんの可能性が考えられるので、遺伝カウンセリングを受けるのがいいと思いますよ」

乳がんの手術をしてもらった病院で、治療方針の説明に際に言われた言葉です。

32歳という若さで乳がんになった彼女、これから結婚して幸せな家庭を築いていこうとしていた中でのまさに青天の霹靂でした。

若いのにどうして?その原因を調べてみました。

若年乳がん、遺伝性乳がんとは?

若年乳がんとは?

一般的に34歳以下で乳がんになった場合、若年乳がんと呼ばれます

乳がん患者の多くの方は40代以上で、40歳未満での罹患者は全体の6%しかいません。

34歳以下となるとたった1.8%の割合になります。

小林麻央さんが34歳という若さで乳がんによって亡くなられたため、若くても乳がんになるんだ、という印象が強いですが、若年乳がんは非常にまれなケースと言えます。

乳がんは遺伝する?遺伝性乳がんとは?

若年乳がんは、本来罹患しにくい年齢での乳がんですので、遺伝による乳がんの疑いが考えられます。

遺伝性乳がんは、生まれながらにして持っている遺伝子変化によって起こります。

原因となる遺伝子はBRCA1、BRCA2の2つの遺伝子で、2つの遺伝子のいずれかに変異があると乳がんにかかる可能性が非常に高いことが分かっています。

BRCA1、BRCA2の遺伝子は、両親から子供に50%の確率で受けつがれることから、遺伝性乳がんと呼ばれています。

近親に、50歳までに乳がんにかかったことがある人を持つ方は、遺伝性の可能性があると言われています。

ただし、遺伝子に変異があっても、乳がんを発症しない場合もあります。

若年乳がんの問題点

若年乳がんの難しいところは、通常の検査で見つかりにくいということです。

というのも、通常乳がん検診を勧められるのは40歳以上の方が対象となります。

ですから、若い年齢の人が検査を受ける機会は、自ら望まない限りありません。

そして、自ら望んで検査を受ける機会と言うのは、何らかの異常、例えばしこりを発見したり、乳頭からの異常分泌などに気づいた時、ということになりますから、すでにある程度進行してから見つかるケースが多くなります

たいていの場合、若年で発見される乳がんは、転移の可能性がある浸潤がんにまで至っているようです。

遺伝カウンセリングとは?

若年で乳がんとなり、遺伝性乳がんと考えられる場合、医師から遺伝カウンセリングを勧められることがあります。

遺伝カウンセリングとはどういったものかは、日本遺伝カウンセリング学会のホームページから引用させていただいた以下の内容となります。

遺伝カウンセリングでは、遺伝に関わる悩みや不安、疑問などを持たれている方々に、まず科学的根拠に基づく正確な医学的情報を分かりやすくお伝えし、理解していただけるようにお手伝いいたします。その上で、十分にお話をうかがいながら、自らの力で医療技術や医学情報を利用して問題を解決して行けるよう、心理面や社会面も含めた支援を行います。

遺伝性乳がんと考えられる場合、同じ遺伝子を持つ可能性のある親や兄弟姉妹にも、影響が出ることになります。

つまり、親兄姉妹が乳がんになる可能性が高いかどうかの判断材料にできるということです。

もし遺伝性で乳がんになる可能性が高いことがあらかじめわかれば、普段からこまめに検査を受けるなど、事前に対応することが可能となります

しかし、本人が事前に知ることを望むかどうかは別問題であるため、慎重に考える必要があるのです。

以上の理由もあって、遺伝子検査をするかどうかも含めてしっかりと相談し、判断できるような支援が用意されています。

まとめ

彼女の治療方針の説明に立ち会った際の医師からは、「遺伝性かどうかによって、親兄弟姉妹の方も罹患する前に注意することができるし、遺伝子の検査をすることも考えてもいいかもしれません」

と言われました。

しかし、乳がんと診断され、これから手術などの治療が始まるところでしたので、正直そこまで考える余裕はありませんでした。

ですから、今のところ遺伝カウンセリングを受けてはいません。

でも、ハリウッド女優のアンジェリーナジョリーさんが、乳がんになる可能性が高いことが分かったとして、事前に両方の乳房を切除し、再建手術を受けられたのは有名な話しです。

乳がんになっているわけでもないのに、可能性だけでなぜ切除するのか?と疑問に感じた方もおられるかもしれませんが、乳がんに罹患して治療を受けている側からすると、理解できます。

早期発見できればいいですが、ある程度進行するまで見つけられず、手術、抗がん剤治療、ホルモン療法などを受けなければならないことを考えると、たとえ100%かかると決まっていなくても、その可能性が非常に高いのであれば事前に切除しておくという手段をとるかもしれません。

一方で、そこまでの勇気があるのは正直すごいなと思いますね。

乳がんにかかっていなかったら、たぶん私たちはその選択をできないと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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