4年前にタイムトラベル 乳がんの彼女に訪れる未来は?
時刻は朝の4時です。
普段できない細々としたことをやろうと、いつもより少し早めに起きました。
寝起きで頭がぼーっとしたまま、書斎のデスクに座ってパソコンの整理をカタカタと始めました。
外はまだ真っ暗です。
しばらく作業をしていると、古いフォルダの中にひとつのワードファイルを見つけました。
ファイルのタイトルは「終活」。
今から約4年前の日付になっています。
「なんだろう、これ」
そう思ってなんとなくファイルを開いてみると、彼女のくみが書いた手記でした。
抗がん剤治療中の彼女の手記から
今、テレビで死ぬ前の活動を特集している番組を見ています。
乳がんになって「死」について考えることが増えました。
いや、むしろそれまではほとんど考えてなかったですね。
まだ、そんなことを考える歳でもないと思っていたので。
でも乳がんになったことで、年齢なんて関係なく、いつどこで人間は死ぬかわからない、と思うようになりました。
私が死ぬときは
- 延命治療はしてほしくない
- 臓器提供してほしい(がんだからできないかな?)
そう思います。
今の気持ちは、本当はもうこれ以上治療したくないって思っています。
楽しくいきたいです。
残り少ない人生かもしれないんだから。
治療をしても完治するとは限りません。
だからもう、結婚や出産もしません。
愛する人のことを考えると、なにも残さないで死んだ方がいいと思っています。
今は家の中に不要なものがいっぱいあります。
テレビを見ていて、徐々に生前整理をしていかなければならないと考えさせられました。
この状態で私が死んだら、この家の整理は誰がしてくれるんだろう。
実家から父親が来て、やってくれるのだろうか。
なんだか想像すると申し訳ないなぁ。
大きな体をしているけれど、足は細くなってヒョロヒョロして歩いているし、ひとりで長旅なんてできないと思う。
(彼女の父親は当時前立腺がんで入退院を繰り返していました)
かといって、たけ(私のこと)が整理をする暇なんてないし・・・・。
どうなるのかな?って考えたら、しっかり整理をしておかなければ、と思いました。
この手記を書いていた時期の闘病記はこちらをご覧ください
4年が経った今の彼女の思いは?
この手記は、彼女が自分の現状や思いを残しておくために、当時書いたものでした。
別のファイルが欲しくて、彼女のパソコンからフォルダをコピーした際に、紛れて入ったようです。
まだ太陽も昇っておらず、ほとんどの人が寝静まっている時間帯は、なんだか一人ぼっちになった気分になります。
そんな中で読んだ、当時の彼女の思いでした。
この手記を読みながら、私は当時の彼女に再会したような気持ちになりました。
これから先の見えない未来に向かって、歩みをやめてしまおうかと考えていた彼女。
年上の私や、身体を悪くした父親を残して、先にこの世を去っていく自分を描いてこの手記を書いていたんだと思うと、やりきれない気持になりました。
今頃、彼女は自宅で2匹の猫に囲まれて寝ています。
この猫たちは、4年前にはまだこの世に存在していませんでした。
飼い主の飼育放棄により、食事ももらえずがりがりにやせ細っていたのを、見るに見かねて彼女が引き取ったのです。
4匹生まれた中で、他の3匹は子猫のうちにこの世を去りました。
引き取った子猫が1年後に親となり、猫の親子と彼女のにぎやかな生活となりました。
今でも彼女は元気に過ごしています。
再発もありません。
私たちは同じ趣味を見つけて、休みの日にはその趣味を楽しむようになりました。
つい先日、病気になる前の自分の写真を見ながら「私ってかわいかったんだって思った((笑))」と照れながら言ってました。
そして「もう1回かわいかった自分を取り戻す!」とスポーツジムに行き、痩せようと頑張っています。
今、彼女はどう思っているんだろう?
病気になる前は、10年後、20年後の2人がどうなっているんだろう?って、2人でいる未来が当たり前に存在すると思っていました。
そんな心の平穏が、彼女に戻っているといいのですが。
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