乳がんの放射線治療による急性期から晩期までの副作用
放射線治療は乳がんの治療において、手術、化学療法(抗がん剤治療)、と並んで、3大治療とされています。
抗がん剤治療と比較すると、副作用が少なく、軽いとされていて、治療を受けながら日常生活を継続できる治療方法です。
とはいえ、副作用はあります。
今回の記事は、放射線治療の副作用をまとめておきます。
乳がんに対する放射線治療の目的や効果については、こちらの記事をご覧ください。
乳がんに対する放射線治療 副作用の種類と内容
急性期障害(治療中から治療直後の副作用)
皮膚炎など皮膚の変化
放射線治療で用いられるX線は光の一種なので、照射を受けた部分に日焼けと同じ症状がでます。
赤くなったり、かゆくなったり、ひりひりするといった症状です。
場合によっては皮膚表面の皮がむけたり、水ぶくれになったりすることがあります。
また、照射後に皮膚の黒ずみがが見られたり、照射部分の汗腺や皮脂腺の働きが一時的に衰え、熱をもつことがあります。
その他にも、乳房全体に少し腫れが出たり、やや硬くなったり、痛みが出たりすることがあります。
一般的に治療開始3~4週間後に症状が現れ、治療終了後2週間ぐらいでピークに、そして1か月程度で回復していきます。
放射線宿酔(ほうしゃせんしゅくすい)
放射線治療は、放射線を照射する部位に副作用が発生する場合がほとんどですが、人によっては全身症状が現れる場合があります。
放射線宿酔と呼ばれるものですが、次のような症状があります。
- 倦怠感や疲労感
- 嘔気・嘔吐
- 頻脈・血圧低下
- 食欲不振
- 頭痛・めまい・不安感
はっきりとした原因はわかっていませんが、下記のような方に発症しやすい傾向があります。
- 肝疾患
- アレルギー体質の人
- つわり経験者
- 神経質な人
症状は放射線照射直後から数時間後に始まり、だいたい10日前後で落ち着いていきます。
ちなみに私の彼女の場合は、1回目の照射後に発症しましたが、その後の放射では症状は出ませんでした。
放射線宿酔の具体的な副作用の様子はこちらの記事をご覧ください
白血球の減少
血液を作っている骨髄に照射する必要がある場合、白血球の減少が起こります。
乳がんの放射線治療では、骨髄に照射されることはありませんが、わずかに白血球が減少することがあります。
白血球が減少すると免疫力が低下するので、感染症などに注意が必要です。
晩期障害(治療後しばらくしてからの副作用)
晩期障害が、治療後数ヶ月~数年後にかけて起こる可能性がある副作用です。
手術した側の腕のむくみ
温存した乳房に照射する際、脇の一部にも放射線が当たるため、リンパの流れが悪くなって起こることがあります。
以前は治療を受けた数パーセントに発生すると言われていましたが、医療の進歩により頻度は減少しているようです。
放射線肺炎
乳がんに対する放射線治療では、肺の一部に放射線が当たります。
そのため、放射線肺炎の副作用を発症する場合があります。
放射線治療終了後3ヶ月~9ヶ月頃が最も多いと言われており、100人に1人程度の割合で起こることがあるとされています。
放射線治療後しばらくして、咳や熱が続くといった通常の風邪症状とは違う症状を感じたら、すぐに病院を受診するようにしてください。
放射線肺炎の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
心臓の炎症、心臓機能への障害
左の乳房に照射する方は、わずかですが心臓に放射線が当たります。
極めてまれに心臓の炎症、心臓機能への障害といった副作用が発生する場合があります。
まとめ
事前にどのような副作用が発生するかを把握しておくことで、治療前後、治療中の不安が解消できます。
多くの病院では抗がん剤治療や放射線治療が実施される前に、治療の内容や副作用をまとめた冊子を渡されます。
しっかりと把握して、治療に臨むようにしてください。
乳がんの治療は長期にわたりますから、精神的な安定も非常に大切です。
治療中の生活が、できる限り穏やかな時間になりますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
乳がんに対する放射線治療の目的や効果については、こちらの記事をご覧ください。
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