乳がん放射線治療の副作用 放射線肺炎発症の可能性や症状とは?
彼女は、放射線療法が始まって初期の照射の際、採血によってKL-6の数値を調べる検査を受けました。
これは、放射線治療における副作用、放射線肺炎を起こしていないか調べる検査となります。
乳房温存療法術後の放射線治療による副作用で放射線肺炎になることは少ないと言われていますが、彼女の場合は脇の下のリンパ節への照射が必要であり、通常よりも肺に当たる部分が多かったとのことでした。
そのため、早めに手を打ってもらったのかもしれません。
というわけで、今回の記事は放射線肺炎について書いていきます。
放射線治療によるその他の副作用についてはこちらの記事をご覧ください。
放射線肺炎とは?
通常の肺炎との違いは?
放射線肺炎は、肺がんや乳がんなどの治療時に行う放射線治療によって発症する肺炎で、間質性肺炎です。
間質性肺炎とは、肺の間質に炎症が起こる肺炎で、細菌性の肺炎とは異なります。
一般的に臓器には、その臓器が担当している役割を行うところである実質と、その実質をつなぐ役割の間質とで構成されています。
肺でいうと、肺実質では酸素を体内に取り込んだり、二酸化炭素を体外へ排出するガス交換の働きをしています。
そして、その肺実質をつなぐ役割をしているのが肺間質で、肺の骨格的な部分を指します。
細菌性の肺炎は実質に起こる肺炎で、放射線による肺炎は間質に起こる肺炎です。
放射線肺炎の多くは、放射線が当たった部分にのみ病変が発生するため軽度の場合が多く、一般的に時間の経過によって軽減するとされています。
ただし、肺炎が起こった範囲が広い時には重症となる場合があり、稀に死亡することもあります。
症状は?
放射線肺炎の症状としては、咳や息苦しさ、運動時の疲労感、胸の痛みなどがあります。
また、発熱が見られることもあります。
細菌性肺炎と比べて、咳をする際に痰が絡まないのが特徴とされています。
発症時期や発症の確率は?
放射線治療終了後、3ヶ月~9ヶ月頃が最も発症しやすい時期とされています。
乳房温存療法では100人に1人、つまり1%の割合で起こることがあるとされていますが、抗がん剤治療を併用していると、その割合は増加します。
診断方法は?
放射線治療後に、胸部のX線やCTなどの画像で診断します。
また、血液に含まれるKL-6という糖タンパクの数値も、間質性肺炎を調べるのに使用されます。
KL-6は、間質性肺炎になっている場合に上昇することが分かっており、通常値は500U/ml以下となっていますが、人によっては通常時でも高い場合があります。
乳がんで放射線治療を受ける際、治療前や治療初期にこの数値を調べ、治療後の数値と比較して間質性肺炎を発見するのに用いられることがあります。
放射線肺炎の治療方法
放射性肺炎は、症状が軽い場合は無治療、経過観察することで自然に治癒することがあります。
息切れや咳などの症状がひどくなる場合は、ステロイド剤の投与が検討されます。
放射線治療を受けていることが原因で、発症までの経過が予測しやすいため、早期発見のためにも異常を感じたら医師に相談することが重要です。
まとめ
放射線治療による副作用は少ないとされていますし、晩期の副作用にあたる放射線肺炎は稀に起こる副作用となっています。
医師によっては治療前に詳細を説明しないケースもあるようです。
しかし、風邪と勘違いしやすい副作用でもあり、放射線肺炎の可能性を想定しておくかどうかで発見できるスピードが変わります。
たとえ1%の可能性であっても、起こりえることを理解し備えておくことで、不安や無駄な苦しみを避けることができます。
参考にしていただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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