妊娠と乳がん再発の因果関係や抗がん剤治療の胎児への影響
乳がんにより抗がん剤治療をしても、治療後に妊娠が可能な人も多くいます。
ここで心配なのは、女性ホルモンを活性化させる妊娠が、乳がんの再発リスクにどのような影響を与えるのかということと、抗がん剤治療による胎児への悪影響はないのか、です。
今回は、妊娠と乳がんの関係について書いていきます。
乳がんの再発と妊娠との関係は?
乳がんの再発と妊娠の関係性を考えたいと思います。
乳がんは女性ホルモンが大きな影響を及ぼす病気です。
がん細胞が女性ホルモンのエストロゲンと組み合わさり、増殖する仕組みを持っているからです。
このことから、これまでは妊娠することによって女性ホルモンの分泌が増えると、乳がんの再発リスクは上昇すると言われていました。
治療後に、体内のどこかにがん細胞が残っていた場合、妊娠によって女性ホルモンが活性化すると、がんの増殖の原因になると考えられてきたのです。
そもそも抗がん剤治療自体が、がん細胞が全身に散らばっている可能性に対するものなので、明確にがん細胞のありかを把握して行うわけではありません。
体内のがん細胞を根絶するために抗がん剤を投与しますが、根絶できたかどうかを確実に知る術はないということです。
しかし、2017年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された試験結果によると、「乳がんの再発と妊娠の因果関係はない」と結論付けられています。
この試験は、抗がん剤治療後に妊娠した人とそうでない人を比較したもので、結果として再発率に違いは出ませんでした。
また、抗がん剤の治療を受けた方が治療後に妊娠しても、本人の乳がんによる生存率に影響はないとされています。
抗がん剤治療後の妊娠は胎児に悪影響を及ぼすか?
では、乳がんによって抗がん剤治療を受けた人が妊娠した場合、胎児への影響はないのでしょうか?
例えば、奇形など何らかの障害のリスクが高まったりしないのでしょうか?
結論から言うと、抗がん剤治療後に妊娠しても胎児に対する悪影響はないとされています。
ただし、抗がん剤の種類によっては、抗がん剤治療終了後数週間~週ヶ月間、体内の内臓に影響が残る物もあるため、数回月経を確認した後で妊娠する方が良いとされています。
妊娠から4週間以内での影響は、流産に至るか影響はほとんどないかのいずれかに分かれるとされています。
その後の14週までは、胎児において器官が形成される期間となり、ここで抗がん剤などの影響が至ると、重篤な奇形の生じる可能性が最も高くなります。
それ以降になると、抗がん剤の影響はほとんどなくなり、妊娠中でも抗がん剤の投与が可能とされています。
つまり、抗がん剤が胎児に大きな影響を与えるのは、妊娠から14週目までの間と考えられています。
まとめ
妊娠、出産は、健康体であっても、場合によっては母体や胎児に命の危険が及ぶ可能性が考えられる事柄です。
乳がんを患って、いろんな治療を受けた後では、なおさらその心配が考えられます。
母体の安全は保たれるのか?
生まれてくる赤ちゃんへの影響はないのか?
現在の見解としては、今回の記事にあるように、抗がん剤治療後の妊娠については、乳がんの再発率や生存率に影響がないとされています。
また、同じく治療後については、胎児への影響もないとのことです。
若くして乳がんになり、治療後に妊娠を考える方にとっては、希望の持てる結果であると思います。
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