乳がんの抗がん剤治療によって不妊になる理由

抗がん剤治療を行うと、妊娠が非常に難しくなると言われています。

私たちカップルも、医師からそのように説明を受けました。

20~30代でこれから子供をもうけようと思っていた夫婦やカップルにとっては、非常に大きな問題です。

今回の記事は、抗がん剤による不妊について書いていきたいと思います。

抗がん剤治療で妊娠できなくなる理由は?

抗がん剤により無月経となり、最悪閉経してしまう

抗がん剤治療によって妊娠できなくなる理由は月経、つまり生理が止まり無月経となるためです。

無月経となる原因は、抗がん剤によって卵巣がダメージを受けるからです。

抗がん剤の投与開始から、1~2ヶ月経過後に発生する場合があります。

抗がん剤治療が終了すると通常月経は再開しますが、そのまま戻らず閉経してしまう人も少なくありません。

閉経する確率は年齢、使用する抗がん剤によって変わります。

抗がん剤による卵巣へのダメージ

抗がん剤治療が終わって月経が来たとしても、卵巣が抗がん剤によってダメージを受け、妊娠しにくくなってしまう場合があります。

このケースも多くあり、月経が戻ったからといって安心することはできません。

抗がん剤の種類による影響の違い

抗がん剤の種類によって、卵巣へのダメージに差があります。

最もダメージが大きいとされる薬剤に、シクロホスファミドがあります。

乳がんの抗がん剤治療でよく持ちいられるFEC療法やAC療法にもCの頭文字があるように、シクロホスファミドが入っています。

シクロホスファミドをどの程度の量投与したかが、卵巣へのダメージや月経への影響にかかわると考えられています。

リスク 抗がん剤の種類
高度 シクロホスファミド
イホスファミド
ダカルバジン
中等度 シスプラチン
カルボプラチン
ドキソルビシン
エトポシド

軽度または発生しない

アクチノマイシンD
ビンクリスチン
メトトレキサート
フルオロウラシル
ブレオマイシン
データなし パクリタキセル
ドセタキセル
ゲムシタビン
イリノテカン

がん治療を開始するにあたって<抗がん剤編>参照

抗がん剤治療によって月経がなくなる割合

抗がん剤治療によって月経がなくなる割合は、使用される薬剤や年齢によって変わってきます。

乳がんでよく使われる抗がん剤治療の薬剤の組み合わせと、月経がなくなる割合を以下の表にまとめます。

30歳未満 30~39歳 40歳以上
CMF療法 19% 30~40% 80~95%
FEC療法 ほとんどなし 10~25% 80~90%
AC療法 データなし 13% 57~63%

CMF:C=シクロホスファミド M=メソトレキセート F=フルオロウラシル
FEC:F=フルオロウラシル E=エピルビシン C=シクロホスファミド
AC:A=アドリアマイシン C=シクロホスファミド

「N Engl J Med 2000; 313(15): 1086-94 より一部改変」引用

40歳以上になると、3つの療法のいずれでも高い確率で月経がなくなるというデータが出ています。

抗がん剤治療で不妊を避ける方法は?

抗がん剤治療によって閉経するかどうかや、卵巣へのダメージがどの程度のものになるかは、予測が困難とされています。

また、不妊にならないようにする方法は確立されていません。

私たちも卵子を凍結保存して、治療後にその卵子を使って妊娠することを検討するよう勧められました。

それ以外については、特に方法がないような状態です。

がんという病気のため、命を救うことが最優先になるのは理解できます。

しかし、その後のQOL(生活の質)を考えると、不妊になることが軽んじられてはならないと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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