髪は女の命 抗がん剤による脱毛はかなりの精神的負担

髪の毛がないのを誰にも見られたくない

抗がん剤投与開始から10日後に始まった脱毛ですが、2週間が経過するころにはほとんど抜け落ちてしまいました。

ところどころ残った髪の毛は少々みっともなく見えてしまうため、私がきれいに剃り上げスキンヘッドの状態にしました。

そして翌日から彼女は、家の中でも私がいる間は頭を見られないように帽子を被るようになったのです。

「剃って」と彼女からお願いしてくるぐらいですから、意外と脱毛を受け入れられているのかなと思いましたが、やっぱりそうではありませんでした。

脱毛したのが年明けて1月が終わるか終らないかぐらいの頃でしたので、帽子を被っている理由は「毛がなくなって頭が寒いから」が彼女の言い分でしたが、後で聞いたところ私にも髪の毛のない禿げ頭を見られるのが苦痛だったそうです。

しかし、少しずつ気候が良くなり温かくなってくると、家の中で帽子を被っているのが暑くていつの間にか取ってくれるようになりました。

人目を気にして引きこもり状態になる

脱毛した頭を何年も一緒にいる私にさえ見られたくないぐらいですから、当然外出からはかなり遠ざかりました。

事前にウィッグを用意していましたが、それを被っても周囲の目が「あの人髪形変だよね?かつらじゃないの?」と言っているような気がして、どうしても家から出られなくなったのです。

数万円するウィッグを被っても、やっぱり自然の髪とは全然違うんですよね。

髪の分け目から地肌が見えないし、スキンヘッドですからもみあげがないのでかなり不自然になってしまうんです。

ウィッグではなく帽子を被った状態で外出することを考えましたが、やはり同じくもみあげ部分も抜け落ちてしまっているので頭は隠せても不自然に見えてしまいます。

最終的にはウィッグを被った上にニット帽をかぶることで、だいぶ不自然さを隠すことができました。

ただし隠すことはできてもかなり大変なんですよ。

だって帽子を二重にかぶっているようなものですから暑いし蒸れてくるし、頭が痒くなってもおいそれとかくことができませんし。

ショック!甥っ子に激怒する事件が発生

でも、時間が経つにつれて少しずつ外出もできるようになり、人と会うこともできるようになっていきました。

それでも、スキンヘッドの頭は私以外誰にも、親や姉妹にも見せないようにしていました。

抗がん剤治療が終わって、放射線治療が始まった頃、姉と5歳の甥っ子と同居する機会がありました。

放射線治療を受けるために、毎日病院に通う必要があったのですが、彼女の実家からはとても遠かったため、病院の近くに住んでいた姉の家に居候することになったのです。

そこで大きな事件が起こります。

ある日、遊んでいる最中に甥っ子がふざけて彼女のウィッグを取ってしまったんです。

今まで甥っ子に怒ることは一度もありませんでしたが、この時ばかりは激怒したそうです。

彼女はスキンヘッドを見られたこと、そして姉がそれほど甥っ子に注意しなかったことにショックを受けて、しばらく姉とは疎遠になってしまいました。

それまでは週に3~4回ほどのペースで電話するぐらい仲の良い姉妹だったんですが、この事件後1年ぐらいは連絡を取らなくなりました。

女性にとって髪は命と言いますが、それを失った姿を見られるのは精神的にかなり辛いことなんだと改めて思いました。

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