乳がんかもしれない 乳頭からの出血と痛み

彼女の身体に突然起こった異変

それは今後の彼女の人生に大きく影響を及ぼすものでした。

もちろん、このころはそんなことを知る由もありませんでしたが・・・・。

彼女の乳頭からの出血が見つかり受診した結果、「乳腺の傷が原因だろう」との診断でした。

しかし、二週間ほどでおさまるだろうとの医師の見解とは異なり、出血はおさまることがありませんでした。

その続きを今日は書きたいと思います。

 

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続く出血と乳頭の痛み

婦人科の受診を受けて乳腺の傷が原因と診断された乳頭の出血は、その後も続きました。

ただ、最初のうちは出血があるだけで痛みはまったくなく、ブラジャーを外した時に赤黒いシミが付着している程度でした。

しかし、半年ほど経った頃から痛みが出るようになったのです。

とはいえ痛みはそれほど強いものではなく、仕事に集中しているといつの間にか忘れてしまう程度のものでした。

また、たいていその日に痛みは治まり、稀に日をまたぐ程度でした。

ですから、彼女にしたら「乳腺の傷が少し炎症を起こしているのかもしれない」といった受け取りでしかなかったのです。

その一方で、医師から言われた二週間はとっくの昔に過ぎており、それでもなお出血が続くことから、徐々に不安は増していたようです。

「もしかしたらなにか大きな病気なんじゃないか」という不安です。

その不安がブレーキとなり、受診に足を伸ばすことができませんでした。

最初の「乳腺の傷」という診断にすがっていたのだと思います。

身体はさらなる異常を訴えていましたが、正面から受け止めることができませんでした。

大きな病気と診断されてしまう恐怖から逃げていたのです。

しかし、病気は診断されたからといってなるものではありません。

診断されない間も、放置していると徐々に進行してしまいます。

本来であればパートナーである私が、冷静に受け止めて彼女を病院に導くべき立場だったのですが、私自身も彼女と同じように恐怖から目を背けていました。

時々「出血止まったの?」と尋ねましたが、彼女からの「そのうち止まるよ」という返事に対しては「そうだね、乳腺の傷だもんね」としか言えませんでした。

「なにかおかしい、もう一度病院に行ったほうがいいのではないか」

「でも、乳腺の傷と言われているし、ただ治りが遅いだけかもしれない」

心の中でずっと葛藤していました。

ついに大量出血、そして指に触れるしこり

気が付くと乳頭の出血が始まって一年が経過しようとしていたのですが、その頃から徐々に出血の量が増え始めました。

さらに少しずつ痛みも強くなっていき、明らかに症状が悪化していったのです。

そしてある日、仕事から帰宅して下着を外すと、今までにないぐらいの大きな血のシミができていました。

右の乳房を触ってみると、乳輪の辺りに指にふれるものを感じたのです。

「え?嘘だ!」彼女は心の中で叫んだそうです。

何度も繰り返し自分の胸をさわりました。

なんとなくしこりが指にふれる気がします。

でも、はっきりとわかるほどのものではありません。

その後、不安でいたたまれなくなった彼女は、私にも確認するように言ってきました。

私も何度も触りましたが、しこりがあると確信するまでには至りませんでした。

翌日、職場である介護施設の看護師にも胸を触ってもらい、確認してもらいました。

看護師から返ってきたのは「なにもないと思うよ、大丈夫なんじゃない?」という彼女を安心させる言葉でした。

しかし、しこりの有無はさておいても、乳頭からの出血の量が増えていることや、乳頭周辺の痛みが強くなっていることは紛れもない事実でした。