乳がんの診断と今後の治療方針が示される

長い長い一週間が終わり、やっと診断結果を聞きに行く日がやってきました。

前回受けた細胞診の結果を踏まえて、乳がんであるかどうかが判明するのです。

この日は私も仕事を調整し、彼女と一緒に病院へ行きました。

彼女を一人で行かせるのは精神的に酷だと思ったのと、彼女が冷静に診断結果を聞き、医師に必要な質問をして情報を得られるか不安を感じたからです。

彼女は精神的に参っていましたし、それでなくてもがんと宣告されれば多くの人はその時点で思考が停止するはずです。

彼女も同様の状態になることが見てとれましたし、ひとりで行かせてしまったら医師がどのような話しをしたのかを正確に把握することができないと思いました。

驚いた乳腺外科の待合室

病院の中に入ると待合室があり、その奥に受付があります。

待合室には数人の女性が待っていました。

モニターが二台設置され、上半身裸の女性がモデルとなってしこりのセルフチェックの仕方が流されていました。

入っていきなりそれが目に入ったものですから、面喰いました(笑)

院内は女性ばかりなので、目のやり場にかなり困りましたね。

女性を見てるような感じにしてはいけないし、かといってモニターをガン見するのも変に思われるかもしれないしで、違うところで彼女以上に動揺していたかもしれません(笑)

待合室でしばらく待っていると順番がきて、診察室へ彼女と一緒に入りました。

そして50代前半ぐらいの眼鏡をかけたいかにもまじめそうな医師が、非常に柔らかく丁寧な口調で説明を初めました。

診断結果、彼女の乳がんの状況

医師が説明してくれた彼女の検査の結果は次の通りでした。

病期を示すステージ

ステージⅡa

右乳房、乳輪の下部分にかかる形で2.8㎝のがんを認める。

リンパ節への転移はかなりの確率で認めない。

「ステージⅡa」はしこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合が該当します。

彼女の場合は後者にあたり、ステージⅡaの診断となりました。

転移がないという診断は非常にありがたかったのですが、乳輪の下部分にかかっていることが彼女の希望を難しくする要因となりました。

この時点でリンパ節への転移がかなり低いと言われたことは嬉しかったですね。

リンパ節へ転移しているとリンパによって全身にがん細胞がばらまかれてしまい、抗がん剤治療の必要性があるからです。

がんの種類

ホルモン感受性がん

よってホルモン療法の効果が期待できる。

ホルモン療法が効くというのもありがたいことでした。

転移や再発の可能性が半分以下に抑えられると言われているからです。

治療方針の説明を受ける

彼女の乳がんの状況が明らかになり、続いて今後の治療方針の説明がありました。

  1. 薬物療法などは実施せず、すぐに切除する
  2. がんのある位置から、乳房全摘出手術が必要と判断する
  3. 手術中にリンパ節の一部を取りがん細胞を調べる。転移がなければリンパ節の切除はしない
  4. リンパ節への転移が認められなければ、手術後の抗がん剤治療は実施しない
  5. 手術後はホルモン療法を5年間実施する。場合によっては生理が止まる種類の薬を使用することがある

以上の内容でした。

2についてはがんが乳輪にかかっているため乳房温存療法をすることはできないとの診断でした。

彼女も私も乳房温存療法での手術を希望してたので、非常にショックな内容でした。

明るい材料としては、以前と比べて乳房再建術が発達しており、切除手術と同時に行う同時再建という方法が取れるということですね。

手術のための入院は1週間から10日程度、日常生活への復帰は退院後すぐにでも可能というお話しで、こちらも明るいといえる内容でした。

3についてはセンチネルリンパ節生検といって、リンパ管に入ったがん細胞が最初にたどり着くセンチネルリンパ節を切除し、がん細胞の有無を調べることによってリンパ節への転移を判断するというものです。

センチネルリンパ節に転移が認められなければ、リンパ節の切除も抗がん剤治療もしなくて済むというお話しで、その前の診断としてリンパ節への可能性は非常に低いだろうとの言葉を聞いていたので、こちらについても希望の持てる内容となりました。

5のホルモン療法については早期の妊娠、出産を希望していたため、5年間の治療期間を経なければならないのはつらかったですが、治療が終わっても37歳という年齢であるため、治療後に妊娠、出産しようということで受け入れました。

他の方法としては若いうちに卵子を採取して冷凍保存する方法も提案されましたが、かなり高額な費用が掛かるため現実的ではありませんでした。

いずれにしても命あってのことなので、この選択は私たちの中では当然のことだったのです。

診断と今後の治療方針を受けて

私たちは診断と今後の治療方針を受けて、しっかりと話し合うことにしました。

というのも、少しでもいいから乳房を残したい、という強い希望が彼女にあったからです。

今回の病院では、何度も可能性を探りましたが無理との診断でした。

私は彼女が完全に納得する形で治療を受けさせたいと思い、できる限りのことをしようと決心したのです。

 

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