父親をがんで亡くした彼女 介護の仕事でもがんと向き合う

堀ちえみさんの舌癌が連日ニュースに取り上げられています。

11時間に及ぶ手術も無事終わり、昨日は術後初めてSNSを更新されたとか。

子供のたくさんおられる方ですから、絶対に元気になっていただいたいと思います。

さて、がん家系などという言葉がありますが、がんの一部の要因は遺伝が関係しているとされています。

彼女も遺伝によりがんになった可能性が高いと思われるような環境にあります。

それが闘病の中で少なからず彼女の精神状態に影響を及ぼしました。

 

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おばさんの乳がんが精神的な不安を大きくする

彼女のおばさんにあたる父親の妹は、5年ほど前に乳がんで亡くなりました。

詳細はわかりませんが、50代後半で亡くなり闘病生活は10年に及んだと聞いています。

彼女が乳がんを発症する前、そのおばさんが亡くなる直前の写真を見つめ、心を痛めていたのを覚えています。

彼女はそのおばさんをお姉ちゃんと呼び、子供の頃に随分かわいがってもらったことを話してくれました。

その後1年も経たないうちに、まさか自身が乳がんになるなんて想像もしていなかったと思います。

「この写真が自分の将来の姿なんだ」

写真の影響で、彼女の中で乳がんに対する恐怖は膨れ上がっていました。

おばさんの死を自分の未来に重ね合わせていたのでしょう。

私は写真を見ることが、彼女にとってマイナスになると感じました。

「自分もこうなる」

と思い込んでしまうと、治るものも治らなくなります。

だから、彼女に写真を削除するよう言いました。

大切なおばさんの、生前の貴重な写真、それを削除するように言うことは酷なことだと分かっていましたが

「今から乳がんに立ち向かう」

というときに、見るべき写真ではないと思いました。

逆に「おばさんが守ってくれる」とプラスに考えられるようになるまでは、見るのをやめた方がよかったですね。

彼女がその写真を削除したかどうかはわかりませんが。

父親が前立腺がんで闘病

彼女の父親も前立腺がんを患っていました。

彼女が乳がんになる2年ほど前に発症したと記憶しています。

手術や抗がん剤治療により、仕事や日常生活は続けることができていました。

彼女が乳がんの手術で入院する際も、自宅から2時間かけて病院に付き添ってくれました。

自営業で朝が早く夫婦2人で営んでいたので、しょっちゅう見舞いに来ることはできませんでしたが。

その代り仕事をできるだけ1人で片付け、彼女の母親が病院に行けるように頑張ってくれていました。

しかし、平成30年に入って前立腺がんが悪化し、入退院を繰り返す生活となりました。

抗がん剤治療がきつかったようで、何度か中止していたようです。

そして、夏ごろに帰らぬ人となりました。

亡くなる2週間ほど前から、彼女は田舎に戻って泊まり込みで看病をしていました。

息を引き取る2日ほど前、いよいよ状態が悪くなり「もう心の準備をしておいてください」と医師から言われました。

その日は病院で夏祭りが催され、会場に来れない患者のために、スタッフが病室にもお祭りの雰囲気を届けてくれました。

ベッドに横たわるお父様、そのベッドを囲むようにハッピを来たスタッフ数人と彼女、そして彼女の母親がおさまった写真が送られてきました。

彼女ははじけんばかりの笑顔で、ピースサインをしていました。

お父様は、もうカメラに視線を合わせることもできない状態でした。

彼女の心中を察すると、心がはち切れそうになるほど苦しかったですね。

そこまで無理しなくていいのに、って思いました。

仕事中に父親の闘病がフラッシュバックする

彼女は自分が乳がんと闘いながら、前立腺がんの父親を見送りました。

最後の方はベッドで完全な寝たきりになっていたので、彼女は献身的に介護をしました。

亡くなった後のケアは、病院の看護師には任せず、彼女と同じく介護の仕事をする姉の2人でしたそうです。

お風呂も2人で入れました。

「介護の仕事をしていてよかったよ。お父さんをきちんと送ってあげることができたからね」

彼女はそう言いました。

お通夜、お葬式を終えて、彼女は職場復帰しました。

訪問介護の仕事をする中で、がん末期の方を介護する場面があります。

そんなとき、自分の父親と重ね合わせてしまい、父親を亡くした悲しみが強くよみがえってくるそうです。

「あんな姿を見るのは本当につらい。

お父さんを亡くしてから余計にそう感じるようになったよ」

彼女はそうつぶやきました。

彼女は乳がんと闘いながら、前立腺がんの父親を見送り、そして日々末期がんの利用者さんを見送っています。

自身ががんと闘っているからこそ、わかる心の痛みがあると思います。

がんで父親を亡くしたからこそ、がん末期利用者の家族の気持ちがわかると思います。

仕事とはいえ、自分のつらい経験を生かしながら周りの人を支える彼女を、私は誇りに思います。

でも、もう少し楽な人生を送らせてあげたいですね。

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